妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 カテリアーナは幼いながらも人間離れした美しい容姿をしており、お伽話に出てくる妖精のようだった。

 母がカテリアーナを嫌うことによって、兄姉もカテリアーナをいじめるようになったのだ。突き飛ばされたり、叩かれてたりとカテリアーナは常に傷だらけだった。父は見て見ぬふりだ。

「この子、どうして泣かないのかしら? 気味が悪い」
「妖精の子だから感情がないんじゃないか?」

 どれだけいじめられても傷だらけになっても、カテリアーナは泣かない。兄姉はさらに調子に乗って、妹を虐げる。

 王宮に仕える人々もカテリアーナのことを『取り替え姫』と呼び、嘲笑った。家族と食事をすることがないカテリアーナに差し入れられるのは、野菜と肉の切れ端が浮いたスープと固いパンだけだ。

「妖精の子だから魔法が使えるでしょう?」そう言って侍女たちはカテリアーナの世話を怠けていた。

 おかげでカテリアーナはいつも同じワンピースを着て、梳かされることのない髪はぼさぼさだった。
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