妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~

2-5

 ブチ猫は立ち上がると、カテリアーナとノワールを簀巻きにしていた縄をナイフで切る。

「お前らは部外者だ。巻き込まれないうちに裏口から逃げな」
妖精石(エルフストーン)はいらないの?」

 体が自由になったカテリアーナはこてんと首を傾げる。

「それは惜しいが……部外者を巻き込むわけにはいかねえからな」

 ブチ猫は見た目に反して……いや見た目はカテリアーナには十分に魅力的なのだが……。乱暴な言動に反して、意外と人情に厚い性格のようだ。猫だが……。

 ツリーハウスの入り口に立つと、ブチ猫は手下の猫たちに(げき)を飛ばす。

「野郎ども! 行くぞ!」

「おー!」という声とともに猫たちが飛び出して行く。

 取り残されたカテリアーナとノワールは彼らの後ろ姿を見送る。

「ハードボイルドね」
「それとは違うな。猫たちの熱き戦いといったところだろう」
「え! ソゥレの森のやつらというのも妖精猫なの?」
「エルファーレンの多くの民はケットシーだ」
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