妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 ノワールにしては声が違う。それにノワールはカテリアーナのそばにいる。

「カルか。遅いぞ」
「申し訳ありません。少し手間取りました」

 声の主に不機嫌そうな声でノワールが言う。

 ツリーハウスが建っている木の陰から出てきたのは、エルファーレンの国王補佐カルス・フェアフィールドだった。よく見ると、カルスの裏からエルファーレン王国の騎士たちも姿を現す。カテリアーナを護衛してくれた騎士の姿もある。

「げっ! マッドサイエンティスト・カルスじゃねえか。何でこんなところに?」

 ブチ猫の呟きにカテリアーナは眉を顰める。

「マッドサイエンティスト? カルス様が?」
「姉ちゃん、あいつと知り合いなのか?」
「ええ、まあ……」

 カルスとエルファーレンの騎士がここに来たということはフィンラスもここに来ているということだ。

 カテリアーナは思わず冷や汗が出る。

「どこへ行く? カティ」

 その場からこっそり抜け出そうとしていたカテリアーナをノワールが呼び止める。

「ちょっと、お花を摘みに……」

 口に手を当てて、「オホホホ」とカテリアーナはごまかし笑いをする。

「今度は逃がさぬぞ。カテリアーナ」

 ぽんという音とともにノワールの姿が変わる。
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