本能で恋をする
「そうだな。早くどこ行くか決めて、店に入ろうぜ!」
「うん、そうだね……」
とりあえず近くにあるレストランで、お茶でもしようと言うことになり、手を繋いで、足早に向かっていると――――




「―――えりぃ?」
「え?
………あ!亮くん?」

誰だ――――――

「マジで、えりぃ?
久しぶりだな!」
そう言って、亮くんと呼ばれた奴はごく自然に凛音の頭に振れた。そして優しく撫でる。
凛音も頭を撫でられていることに特に気にすることなく、話している。

無意識に繋いだ手を、強く握りしめた。

止めろ―――――

「…つうか、えりぃ、綺麗になったな!
もともと可愛かったけど、益々綺麗になった!
さすがミス西若!!」
「もう…!それ高校生のときの話でしょ!
恥ずかしい……」

止めてくれ―――――

俺の凛音に気安く触るな!話しかけるな!
俺は、言葉に出来ない怒りに包まれながら、凛音を強く引き寄せ、腕の中に収めた。
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