本能で恋をする
*****凛音 side*****


「あー、行っちゃたな……」
すでに寂しい……まだ10分も経ってないのに。

本当バカだな私。
こんな状態で、3日間耐えられるのかな…?
こんな時に限って仕事も休みだ。


「ショッピングでもするか………
気を紛らわさなきゃ!」

お気に入りのショップに行き、色々可愛い服を物色する。
「あっ、このワンピ可愛い!
海斗好きかな?」
………って、違う。海斗のことは考えないようにしなきゃ。また寂しくなる。
気を紛らわす為に来たんだから。
自分に突っ込み、頭を降る。


近くのコーヒーショップへ行き、窓際の席でコーヒーを飲んでいると――――
ドンドンドン!

「え?」
音がするほうを見ると、
「亮くん?」



「こんなとこで、何してんの?」
亮くんが隣に座りながら言う。
「ティータイム中だよ」
「フ…その割には暗いじゃん!」

「そう?そんなことないよ!」
「そうかな~?」
優しく笑って、私の頭を撫でた。


「あっ、亮くん!
この間はごめんね……海斗が…その…」
「(笑)そんなことか!大丈夫だよ。
それにえりぃが謝ることじゃないだろ?
俺もちょっとムキになっちゃったし」

「そう言ってくれて、よかった」
ホッとした。

「で、今日彼氏は?
あ、じゃなくて婚約者か!」
「今日から3日間出張なの」

「あーそれで。
この世の終わりみたいに暗いのか!
出張って言っても、3日だろ?一生会えなくなる訳じゃねぇのに」
「まぁ、そうなんだけど……」

少し沈黙があって、不意に
「なんか、妬けるな……」
と亮くんが言う。
「何?」
「いや、俺と付き合ってたときは、こんな感じじゃなかった気がするから。
俺も合宿とかで、1ヶ月会えなかったときあったじゃん?その時そんな感じじゃなかったから。
えりぃの婚約者?はいいなぁって思った。えりぃにそこまで想われて」

「そんな……」
「もしあの時、俺があんなこと言わなかったら、今頃俺達一緒にいれたのかな?」

「その話はなしだよ!」
「そうだったね……ごめん…。
たださ、えりぃがこんなに綺麗になってるなんて思わなかったから、今スゲー後悔してる。
えりぃを振ったこと」
そう言って今度は私の頬に振れ、親指で私の口唇をなぞった。

「ちょっ…亮くん…止めて!」
慌てて顔を背けた。
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