本能で恋をする
海斗様は彼女をそのまま、ゆっくり横に寝かせて、
「お前……覚悟できてんだろうな………」
と、呟く。
「え…?覚悟って……」

「言ったろ?俺が凛音を愛して止まないって!
いつでも喉から手が出る程欲しくて、凛音に触れるだけで狂う程嬉しくて、凛音のことになると支配欲求でいっぱいになる。
凛音の為なら、なんでもできるんだからな。
犯罪も喜んで犯してやる!」




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

その後のことは、今思い出しても震える。
そのまま胸ぐらを掴まれて、立たされて――――
「地獄に落としてやる―――」
殺されそうな位の、とてつもない表情だった。



それから私は仕事を依願退職させられ、一生海斗様達の前に現れない誓約書を、書かされた。

「言っとくが、これは警告だからな。
破ったら、次は本当に地獄に堕ちると思え」


確かに私の入る隙は全くなかった。
だって、あんな海斗様の表情は初めてだったから。
怒りの表情が、ではない。彼女に向けるなんとも言えない、優しく愛しい表情。溶けそうなくらいの熱い愛情が。


今やっと、鴨志田さんの言った意味がわかった。




*****川枝 梨乃side・終*****
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