本能で恋をする
狙われる
その後、家に帰り――――
いつもの生活が始まる。


始まると思っていた――――――――


「ただいまー!」
あれ?いつもなら、走って来て抱き付くのに。
「凛音ー?帰ったよー?」
言いながら、リビングのドアを開けると、テーブルの前で突っ立ってる凛音がいた。
手に紙を握り締め、震えている。

「凛音?どうした?」
凛音に近付きながら声かける。

「あ、え、海斗。おかえりなさい。早かったね!」
明らかに顔がひきつっている。
「その紙何?」
「え?あ、ううん。何でもないよ!」
そう言って、紙を後ろ手に隠した。

「何もないことないでしょ?見せて!」
手の平を出し、凛音を見る。
凛音はしぶしぶ紙を差し出す。

くしゃくしゃになった紙を伸ばして確認すると、そこには――――
【今すぐに別れろ!
僕の方が君を幸せにできるんだから。
君には僕が必要なんだよ。】

と書かれていた。
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