本能で恋をする
それからも1ヶ月に一度くらいの割合で手紙がポストに入っていた。
【愛してるよ】だの
【どうして別れないの?アイツは最低の男だよ】だの………
気持ち悪い内容ばかりだ。
今のところ、非通知の電話と、手紙だけなのでこのままにしている。
凛音も大事にしたくないようだし。俺はすぐにでも探しだし、地獄に落としてやりたいのに―――

でも何かあったらいけないので、一応凛音に内緒で君加さん夫婦に相談しておいた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「で?凛音はなんて?」
「大事にしたくないみたいで。何もしなくていいって!」
「そう……。
凛音らしいわね」
ため息をつきながら、君加さんが言う。
「ま、でも何かあれば警察に言う前に、俺にすぐに言え!!警察みたいな生ぬるいことはしない。
俺が半殺しにしてやる!!凛音ちゃんは、妹みたいなものだからな!」
と、一平さんが言う。怖ぇー。心強いが、敵には絶対したくないな…。

一平さんは穏やかな人だが、怒ると恐ろしい人だ。
一度だけ見たことがある。
凛音と君加さんが、変なヤクザに絡まれ、どこかに連れ込まれようとした時、一平さんがキレて相手を全てボコボコにした。相手はもう降参してるのに、容赦なかった。
悪夢のような光景だった。

「まぁ、明後日会っときに聞けたら聞いておくから!」
「は?明後日会うんですか?」
明日、明後日は気分転換にどこかに行こうと思っていたのに…………
「聞いてないの?明後日は高校の同窓会よ!
凛音も来るはずよ!」

「聞いてない……」
「まぁ、凛音もそれどころじゃないかな?凛音に聞いてみてよ!」
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