本能で恋をする
「ねぇ、海斗。
さっきからどうしたの?
怒ってる?私なんかした?」

怒ってるんじゃない。あんなワンピースを選んでしまった自分が、許せないのだ。

「怒ってないよ。
凛音、明日同窓会行くのやめない??」
「え?どうして?
亮くんがいるから?
この前話したでしょ。亮くんにはちゃんと私の気持ち伝えたよって!」
わかっている。でも嫉妬で狂いそうだ。

「うん、わかってるよ。
じゃあせめてギリギリまで、くっつかせてね!」
「フフフ…
わかった!海斗、可愛い!」
凛音が俺の頭を撫でる。
「可愛くねーよ!!」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

次の日の午後―――――
「もー、海斗!もう少し離れて!着替えにくいよ……。
ちょっと!お化粧取れちゃう」
「やだ。じゃあ行くのやめれば!」

俺は少しでも凛音と一緒に居たくて、朝からベッタリくっついていた。トイレに行く以外ずっと……。

今だって、凛音が化粧をした上から何度もキスをする。
凛音が家を出るまでの時間をかせぐ為に―――
「もう!やだ。ちょっと早めに出て、駅のトイレでお化粧する!」

「え…?
ごめん、もうしないから。お願い。ギリギリまでいて!くっつくだけにするから!」
「もう(笑)しょうがないなぁ!」
ヤバい。逆に早く離れることになってしまうとこだった。


「よし!完了!
どう?海斗☆」
クルッとひと回りした凛音。
可愛すぎる………ヤバい、やっぱ行かせたくない。
「え…変かな…?
海斗に可愛いって言ってもらわなきゃ意味ないのに……」
俺があまりにも何も言わないので、心配そうに言う凛音。

「可愛いよ。可愛すぎて今すぐベットに連れていきたい位」
抱き締め、呟いた。
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