本能で恋をする
10時間前―――――


私のパート先のカフェで、
カラカラカラ――
「いらっしゃいませ」
「こんにちは。凛音さん」


「鴨志田さん?
いらっしゃいませ。
お一人ですか?」
「はい。少しお話があって……お時間いただけますか?」
「え?はい……」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

店長に断りをいれ、外へ――――
「すみません。お忙しいところを」
「あ、いえ。
今日はお客さん少ないですし、大丈夫ですよ」
安心させるように、少し微笑んで言うと、


「……やっぱりあなたは、可愛らしい方ですね」
「え?」
「あなたに海斗はふさわしくない」
「え?鴨志田さん?“海斗”って……」
いつもは“様”付けなのに。

「お手紙渡しましたよね?」
え?お手紙って……
まさか………
「僕の方が君を幸せにできるんだからって!」




う、そ…?
「今までのは全部、鴨志田さんだったの………」
「はい。まぁ詳しい話しは後でゆっくり……」
そう言って、スプレーを私に吹き掛けた――――

パタン―――
「おっと、危ない……。
今はおとなしくしていて下さいね」
< 81 / 92 >

この作品をシェア

pagetop