キスマーク



「ねえ、またつけるの?」


いつからだろう。


彼がそう言うようになったのは。


「嫌なの?」


「嫌じゃないけど……」


けど、なに?


言葉を濁す彼にどうしても腹が立った。


そのうち私は彼に許可とることなく彼の首に印を付けるようになった。


ほかに女がいるの?


私の事嫌いになったの?


私はこんなに好きなのに、離れてかないで。


あなたがいなくなったら私には何も無いんだよ。


聞けないことや言えない思いを全部彼の首に押し付けた。


前よりずっと多くて、ずっと濃い。


こんなことしてたらいつか彼は離れて言ってしまう。


分かってはいても辞められなかった。



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