夜明けを待つ私たち










あぁ


これは夢か




そういえば

私の家はこんな構造じゃない



お母さんは自分で料理はしないし



弟の顔なんて知らない。







キッチンの方から聞こえる

女の人と幼い男の子の話し声を聞きながら






この夢が現実だったらよかったのに。







などと馬鹿げたことを考えた












ピピピピピ



ピピピピピ








規則正しい機械音により

私は現実世界へ引き戻される



と、同時に聞こえてくるのは

メイドの丸瀬さんの声





「結お嬢様、朝ですよ」





カーテンを開く音と共に

眩しい光が私の顔を覆った





「…おはよう」

「はい、おはようございます」






顔を洗って、制服に着替える途中

ふと、鏡の中の自分と目を合わせた




夢の中の私は

すごく楽しそうだった


こっちの私はどうなんだろう。




あっちの私よりも家は大きいし

ご飯だって豪華

メイドだって沢山いるし

良い学校に通っている



なのに…

ぽっかりと心に穴があいているように感じるのは


なぜなんだろう。



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