王子と社長と元彼に迫られています!
「千咲のことが好きだ。もう一度やり直したい。」

優悟ははっきりとした口調で言った。付き合っていた頃の飄々(ひょうひょう)とした雰囲気はもはやどこにもなくて、感じるのは彼の心の熱さだけだ。

「・・・!?え・・・。」

「俺、最近夢で、千咲が俺に見せてない顔をあいつらに見せてるのを見てて、悔しかった。でもそれは俺が千咲を大事にしてなかったせいだ。王子みたいに千咲のこと気遣ったり甘い言葉ささやいたり、社長みたいに刺激的なことしたり弱いとこ見せたりしてこなかった。あいつらは千咲を大切にしてるからこそ全力でぶつかってた・・・ごめん、こんなこと言われても俺の夢の話だし何のことかわかんないよな。」

優悟は俯いた。『わかるよ。』その言葉が喉に引っ掛かっている。

「付き合ってる時の俺は、千咲に甘えて寄りかかってるだけだった・・・俺、今の会社の採用試験の時さ、グループ面接で他のやつら見てて絶対自分は受からないと思った。皆なんかすごくてさ。千咲が海老瀬のこと『キラキラしてて宝石みたい。』って言ってたけど、皆揃ってそんな感じだった。だから受かった時は信じられなかったよ。いざ会社入ったら、皆仕事に対しても熱いし、外見にも気を遣って、プライベートでも習い事したりボランティア活動したりとかさ。お前らいつ休むの?って。そんなやつらに囲まれて・・・信じられないと思うけど、会社では皆に合わせて意識高い系の自分を演じたりして、正直疲れてた・・・そんな時海老瀬に誘われて渋々行った合コンで千咲に出逢った。」

彼はそこで再び顔を上げて真剣な強い眼差しで私を見た。
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