王子と社長と元彼に迫られています!
「・・・。」

「話す前の第一印象は、『女らしくて海老瀬の友達っぽいな。』って。俺、女の美容のこととかよくわかんないし、普通にちゃんとしてるように見えた。」

「はは・・・。」

「でも話し始めたらなんかおやじくさいし、家事とか美容とか色々ズボラそうだし、休みの日も一日ぐだぐだしてて、週末二日間家から一歩も出ない時もある、とか言っててなんか安心して。しかもそれを合コンの場で言うっていうのがすごい好感持ててさ。更に家系ラーメンが好きで、その中でも塩とんこつ推しだなんて・・・こんなこと言うの照れるけど、正直運命だと思ったんだ。」

優悟は恥ずかしそうにそう言って繋いだ手をぎゅっと握りしめた。

「付き合い始めたら思った以上に楽でさ。なんにも頑張らなくてよかった。千咲が何でもやってくれるから一人でいる時よりも楽させてもらって。それに甘えてた。自然体でいられる関係っていいななんて思ってたけど、自分に都合のいいように『自然体』の意味をはき違えてた。俺はただサボってただけだ。千咲に愛想つかされて当然だよ。」

「優悟・・・。」

「俺、今まで『来るもの拒まず去るもの追わず』だったんだ。でも千咲のことは追いかけたい。他の人のものになってほしくない。失いたくないんだ。今度はちゃんと千咲のこと大切にするって誓う。だからもう一度俺と付き合ってください。」

そう言って頭を下げた彼の声と体は震えていた。
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