王子と社長と元彼に迫られています!
『モヤモヤしたまま寝たからなのかわからないけど、その日の夢では王子が白いバイクに乗って千咲をお台場に誘ってて、千咲は体調悪いからって断って、じゃあ妹を誘おうかなって言ってたんだ。昼間見た二人の姿が重なった。夜中に目が覚めて1月なのに汗びっしょりだった。』

その後にどんなメッセージが来るのか怖かった。『彼のこと知ってるんじゃない?』なんて聞かれたらどう答えよう・・・いや、もうそろそろ優悟に本当のことを言わなければ、と思っていたのだからこれは良い機会のはずだ。

私達は別れてそれぞれ別の道を歩き出した。彼には彼女がいて、私は私で男性と交流がある、ただそれだけのことだ。もしも私が元々サブ彼女だったとしても結果的には同じだ。

それなのに、どうしても土曜日の彼の真摯な告白が心にひっかかってしまっていた。まるで、ドアノブに洋服が引っ掛かって足止めされた時みたいに。いや、告白の真意がどうあれ、ここまで来たら彼に事実を伝えるべきなのはわかっている・・・わかっているけれど。

優悟に真実を明かすのを躊躇(ためら)っている理由として、『彼が夢で見た私と男性との甘い出来事がリアルに起こったことだと知られるのが恥ずかしい。』という単純な思いがあったが、それ以上に大きな、正体不明の気持ちが私の心の中にあった。数日後、私はその正体を知ることになるのだった。
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