王子と社長と元彼に迫られています!
「えええっ!?!?」

───『お前がほしい』再び!?しかも紬くんだから暁さんみたいに仕事でってことではないだろうし・・・も、もしかして今部屋に二人きりだし、今夜ってこと・・・!?

思わずベッドに目線が行ってしまう。紬くんは私の目線を追って察したのか焦った表情になった。

「?・・・!!あぁっ!ごめん!そういう意味じゃないんだ!」

「あはは!だよね!まさかね!・・・えっとその、じゃ、どういう・・・?」

「ちぃちゃんの誕生日を一緒に過ごす権利がほしいんだ。ごめん、緊張してちょっと略しちゃって・・・。」

「いやいや、略し過ぎだから!意味全然違っちゃうから!」

「あはは、ごめん。」

照れて笑う紬くんはすごく可愛い。たまに見せる男らしい彼にもドキドキするけれど、今みたいな彼の方が私は好きだ。

「えーと、その、誕生日は・・・。」

「暁さんと約束でもしてる?」

「!?」

「やっぱりそうか。」

「・・・誘ってもらったの。土曜日の18時から。」

「そっか。暁さん()日付が変わる瞬間ちぃちゃんと一緒にいたいと思ってるんだね。」

()ってことは、もしかして紬くんも?」

「うん。ちぃちゃんが25歳になった時に一番近くにいて一番最初にお祝いの言葉言って一番最初にキスしたいから。」

「そそ、そっか。」

「暁さんとの約束、行く、とは言ってないんだよね?」

「うん、了承するなら迎えに来るって、無理そうなら連絡くれって・・・。」

「後から誘っといてあれだけど、僕の方に来てほしいな。」

紬くんが指の背で私の頬に触れる。今日もローテーブルにL字になる位置で座っていた。暁さんの方は私が出張に同行したお礼、紬くんの方はデータを移してくれたパソコンをもらったお礼・・・だったら紬くんの方に行くべき?でも暁さんの方が先に誘ってもらったし・・・この感じだと『3人で』っていう選択肢はなさそうだし・・・。

「その、ちょっと考えさせてもらえるかな・・・。」

俯いた私に『うん。』という優しい声が返ってくる。顔を上げると慈愛に満ちた柔らかな微笑みがそこにあった。
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