王子と社長と元彼に迫られています!
───顔がくすぐったい・・・でもなんか温かいし気持ち良い・・・。

薄く目を開けると目の前に見えたのは天井ではなくて天使のお顔だった。

───ん?天使・・・?えーと、昨日ってどうしたんだっけ?・・・あ!!

記憶がよみがえった瞬間カッと目を開く。唇は接続された状態だ。言葉を発しようと口を開いた瞬間、舌が中に入ってきてより深く激しく繋がる。その甘過ぎる誘惑に負けて身を委ねてしまいそうだ。

しかしニットの中に手が入ってきた途端我に返り、ニットの上からその手をぎゅっと掴んだ。すると彼の唇の動きが止まったのでその隙に唇を離して空気を吸う。

「ごっ!ごめんっ!」

紬くんは謝りながら慌てて体を起こした。私も起き上がる。

「その、夜中に目が覚めたらちぃちゃんが僕のお腹に顔を乗せて眠ってて、あまりにも可愛くて幸せ過ぎたからそのままでいたかったけど、病み上がりだし明日も仕事だからベッドに運んだんだ。あ、僕はコートを体にかけて床に寝たから安心して。」

「え?床で朝まで寝ちゃったの!?ダメだよ、そんな・・・体痛くなるし風邪も引いちゃうよ。」

「・・・じゃあ、ベッドで一緒に寝てもよかった?」

紬くんは甘えるような可愛らしい笑顔で首をかしげる一方でかなりの色気を放っていた。本人は無意識だろうが計算され尽くしたかのような絶妙なバランスだ。もし彼の写真集が発売されてこんな写真があったなら、あまりの魅力に何人もの女性がしばらくの間動けなくなってしまうことだろう。
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