王子と社長と元彼に迫られています!
『出来るだけ希望の部署に入れるようにする。商品開発部でもいいし、営業部でもいい、秘書がもう一人ほしいので秘書でもいい・・・あ、映像関係の仕事をしていると言っておったな。広報部に動画コンテンツを作るグループがある。広報には他に、ワークショップを担当する者達もいるし、情報誌を作るグループなどもあるぞ。』

「はぁ・・・。」

『住居については自分でマンションを探しても構わないが、会社から2分ほどのところにうちの社員専用の寮もある。全員女性だし、寮でイベントもやったりしていて(われ)もいつも呼ばれているんだが、かなり楽しいぞ。安いスーパーや100円ショップも近くにあって便利だしな。』

まだ話は飲み込めないが仕事も寮もなんだか楽しそう、と思ってしまった。

『これから採用活動をどんどんしていき4月より前に人を入れる部署もある。希望のところが埋まってしまうかもしれないから、早めに返事をもらえるとありがた・・・。』

その時電話の向こうで『涼さーん。』と呼ぶ声がした。涼華さんが『今、参る。』と返事をする。

『昼休みだろう。すまぬな、忙しくてこんな時間に電話してしまって。聞きたいことがあったら連絡をくれ。我が出られなくても秘書が答えるから。』

「は、はい・・・。」

『それでは。いい返事を待っているぞ。』

「失礼します・・・。」

そう言うと電話が切れ、ちょうど料理が運ばれてきた。考えなければならないことが多過ぎるがとりあえす腹ごしらえだ。

豆腐ハンバーグメインのワンプレートでご飯は十六穀米、野菜も盛り盛りでデザートまでついている。世の女子達はこういう食事をSNSにアップするのだろう。私もたまには写真を撮ってアップしてみようか・・・光の当たり具合を考えるとこっちに置いてこの方向から撮った方がいいかも、そんなことを思って立ち上がると、下の道に朝まで一緒だった男性(ひと)───紬くん───が女性と密着して歩いているのが見えた。
< 136 / 203 >

この作品をシェア

pagetop