王子と社長と元彼に迫られています!
「ごめんね。誕生日は一緒に過ごせないの。パソコンのお礼はまた別のことで───」
「暁さんと一緒に過ごすの?」
紬くんは無表情だった。そんな彼を見たのは初めてかもしれない。胸がぐっと締めつけられる。
「・・・ううん。暁さんにもお昼休みに伝えるつもりなんだけど・・・私、自分から別れを切り出したのに元彼のことがまだ好きなの。彼にはもう彼女がいるんだけど、それでも・・・。」
紬くんや暁さんは外見だけでなく内面もとても魅力的な男性で、私が彼らに惹かれているのは事実だ。でも触れ合ってドキドキしても最終的には一線を越えたいとは思わないし、彼らに他の女性がアプローチしても嫉妬心が芽生えることはなかった。彼らに恋人ができて今とは違う関係性になることも抵抗なく想像できた。つまり自分だけのものにしたいという特別な感情がなかった。漫画から素敵なイケメンが飛び出してきて胸キュン体験をさせてもらっているような感覚だったのだ。
彼らは優悟とは違う。最初は優悟は元彼だから体を重ねようとしたり、彼と一緒にいる女性に嫉妬心を抱いているのかと思った。でもそれは違った。自分が認識していなかっただけで私は彼のことが好きだったのだ。『失って気づく』とはよく言ったものだ。
「なんだ、そんなことか。」
紬くんは私が重くしてしまった二人の間の空気を軽くしてくれようとするかのようにやたら明るく笑った。
「そんなの気にしないよ。ちぃちゃんが一緒にいてくれるなら元彼のこと忘れられないままでいいよ。」
そう言ってぐいっとドリンクを飲むと『おかわりもらえるかな。』とコップを差し出してくる。
「・・・それが、一緒にもいられない・・・かもしれないの。」
その一言に紬くんは表情を強張らせた。その陶器のように滑らかな肌にヒビが入ってバラバラと崩れていってしまいそうだった。
「暁さんと一緒に過ごすの?」
紬くんは無表情だった。そんな彼を見たのは初めてかもしれない。胸がぐっと締めつけられる。
「・・・ううん。暁さんにもお昼休みに伝えるつもりなんだけど・・・私、自分から別れを切り出したのに元彼のことがまだ好きなの。彼にはもう彼女がいるんだけど、それでも・・・。」
紬くんや暁さんは外見だけでなく内面もとても魅力的な男性で、私が彼らに惹かれているのは事実だ。でも触れ合ってドキドキしても最終的には一線を越えたいとは思わないし、彼らに他の女性がアプローチしても嫉妬心が芽生えることはなかった。彼らに恋人ができて今とは違う関係性になることも抵抗なく想像できた。つまり自分だけのものにしたいという特別な感情がなかった。漫画から素敵なイケメンが飛び出してきて胸キュン体験をさせてもらっているような感覚だったのだ。
彼らは優悟とは違う。最初は優悟は元彼だから体を重ねようとしたり、彼と一緒にいる女性に嫉妬心を抱いているのかと思った。でもそれは違った。自分が認識していなかっただけで私は彼のことが好きだったのだ。『失って気づく』とはよく言ったものだ。
「なんだ、そんなことか。」
紬くんは私が重くしてしまった二人の間の空気を軽くしてくれようとするかのようにやたら明るく笑った。
「そんなの気にしないよ。ちぃちゃんが一緒にいてくれるなら元彼のこと忘れられないままでいいよ。」
そう言ってぐいっとドリンクを飲むと『おかわりもらえるかな。』とコップを差し出してくる。
「・・・それが、一緒にもいられない・・・かもしれないの。」
その一言に紬くんは表情を強張らせた。その陶器のように滑らかな肌にヒビが入ってバラバラと崩れていってしまいそうだった。