王子と社長と元彼に迫られています!
「結論から言え。」
以前『秘書にならないか。』と誘ってもらった隣のビルとの間の花壇の前。ベンチには座らず背中を向けて暁さんは言った。
「ごめんなさい。誕生日は一緒に過ごせません。」
「それだけじゃないだろう?」
「まだ決定してはいませんが、4月から涼華さんの会社に───名古屋に───行くかもしれません。誘って頂いたんです。」
私も座らずベンチの前に立って言った。
「・・・やっぱりそういうことか。あの女狐め。朝、星谷紬と廊下ですれ違ったんだ。明らかに泣き腫らしたような目をして女物のハンカチを大事そうに握りしめていたからな。誕生日を一緒に過ごしたいと誘って、俺の方に行くからと断られたくらいの感じじゃなかったからな。」
「本当にごめんなさい!」
彼は後ろを向いたままだったけれど勢いよく頭を下げた。
「・・・私、自分から別れを告げた元彼のことがやっぱりまだ好きなんです。暁さんにたくさん想いをもらって、その甘さを味わって、それなのにこんな風に・・・会社にも誘って頂いたのに、本当にごめんなさい。」
「ああ、これはかなりきついな・・・覚悟してきたけど想像以上だ。」
暁さんは完璧に決まったヘアスタイルをぐしゃぐしゃとして言った。振り向いた彼の顔にはかなりの動揺が見てとれる。
以前『秘書にならないか。』と誘ってもらった隣のビルとの間の花壇の前。ベンチには座らず背中を向けて暁さんは言った。
「ごめんなさい。誕生日は一緒に過ごせません。」
「それだけじゃないだろう?」
「まだ決定してはいませんが、4月から涼華さんの会社に───名古屋に───行くかもしれません。誘って頂いたんです。」
私も座らずベンチの前に立って言った。
「・・・やっぱりそういうことか。あの女狐め。朝、星谷紬と廊下ですれ違ったんだ。明らかに泣き腫らしたような目をして女物のハンカチを大事そうに握りしめていたからな。誕生日を一緒に過ごしたいと誘って、俺の方に行くからと断られたくらいの感じじゃなかったからな。」
「本当にごめんなさい!」
彼は後ろを向いたままだったけれど勢いよく頭を下げた。
「・・・私、自分から別れを告げた元彼のことがやっぱりまだ好きなんです。暁さんにたくさん想いをもらって、その甘さを味わって、それなのにこんな風に・・・会社にも誘って頂いたのに、本当にごめんなさい。」
「ああ、これはかなりきついな・・・覚悟してきたけど想像以上だ。」
暁さんは完璧に決まったヘアスタイルをぐしゃぐしゃとして言った。振り向いた彼の顔にはかなりの動揺が見てとれる。