王子と社長と元彼に迫られています!
おにぎりとタッパーの中身を食べ終え、みかんの皮をむいて半分こにし、『食べますか?』と差し出すと暁さんは静かに頷いて受け取ってくれた。彼の方が先に食べ終え、何かごそごそしている。見るとタッパーを自分のハンカチ───ダークネイビーで白いラインで縁取られたもの───で包み、それを私の膝の上に乗せてくれる。
「ハンカチ、洗って返すから、これで持って帰れ。」
「え、別に洗わなくて大丈夫ですよ。」
紬くんにもそう言えばよかったけれど言いにくい雰囲気だったんだよなぁ、と思っていると暁さんは真剣な表情になった。
「そういうわけにはいかない。星谷紬だけお前のハンカチを持って帰るのは許せないからな。」
「は、はぁ・・・。」
「あいつのは朝受け取ったものだからまだ未使用のものだろう。俺は手作り弁当を包んでたものだからな。匂いもついてるし俺の勝ちだな。」
そう言って嬉しそうににやり、とする暁さんが子供みたいで可愛くて思わずぷっと吹き出してしまう。
「星谷紬にも言われたと思うが、またちゃんと話聞かせてくれ。あいつとまとめてでも俺は構わないから。」
「・・・はい。ありがとうございます。」
そう言うと暁さんは切ない表情になった。
「その笑顔が好きだ。俺のものになってくれなくても。」
キュン、と、チク、二つの感覚を胸が感じ、それらは朝から感じている胸の痛みを更に強めた。けれど私はこの痛みをきちんと受け止めて前に進んでいかなくてはならない、そう心を決めたのだった。
「ハンカチ、洗って返すから、これで持って帰れ。」
「え、別に洗わなくて大丈夫ですよ。」
紬くんにもそう言えばよかったけれど言いにくい雰囲気だったんだよなぁ、と思っていると暁さんは真剣な表情になった。
「そういうわけにはいかない。星谷紬だけお前のハンカチを持って帰るのは許せないからな。」
「は、はぁ・・・。」
「あいつのは朝受け取ったものだからまだ未使用のものだろう。俺は手作り弁当を包んでたものだからな。匂いもついてるし俺の勝ちだな。」
そう言って嬉しそうににやり、とする暁さんが子供みたいで可愛くて思わずぷっと吹き出してしまう。
「星谷紬にも言われたと思うが、またちゃんと話聞かせてくれ。あいつとまとめてでも俺は構わないから。」
「・・・はい。ありがとうございます。」
そう言うと暁さんは切ない表情になった。
「その笑顔が好きだ。俺のものになってくれなくても。」
キュン、と、チク、二つの感覚を胸が感じ、それらは朝から感じている胸の痛みを更に強めた。けれど私はこの痛みをきちんと受け止めて前に進んでいかなくてはならない、そう心を決めたのだった。