王子と社長と元彼に迫られています!
わかっていたことだったけれど、実際にその想いが彼女の口から出て言葉になり空気を震わせて耳に届くと、想いが(つるぎ)のように心に突き刺さったような錯覚を覚える。しかも柚香の話だと優悟にそういう気持ちを抱いているのは彼女だけではないのだ。

───あの優悟の告白が本当で彼が私の事を好きだったら・・・私が他の男性達から想いをぶつけられる場面を夢で見て、彼はずっとこんな想いをしていたの?だから夢だと思っているのにいつも慌てて私の家に来てたんだ・・・。

無意識に話している友野さんではなく優悟に視線を移してしまっていたことに気づき、彼女に視線を戻す。友野さんはそれを確認してから続けた。

「入社したら、同期も先輩方も仕事でもプライベートでも意識が高い方ばかりでした。でも瀬良さんはなんだかちょっと無理してるみたいな感じがして気になって・・・その気持ちがいつしか恋になっていたんです。でも柚香先輩から瀬良さんにはお似合いの彼女さんがいるって聞いていたから、その想いは心に秘めていました。だけど、瀬良さんが彼女さんと別れたって風の噂で聞いて・・・トイレで後輩の子がチャンス到来と思って告白したって言ってて、その子は秒で振られたって言ってたけどこのままだと誰かの告白にオーケーしちゃうんじゃないかって焦りました。」

清楚な彼女の『女』の顔はとても綺麗だった。

「この前の土曜日、会社の先輩の結婚式があったんです。すごく素敵なお式で気持ちが盛り上がってしまって・・・結婚式に便乗して瀬良さんに気持ちを伝えたんです。」

ごくっ、喉仏の動きを感じることが出来るくらい大きく息と唾を飲んでしまった。
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