王子と社長と元彼に迫られています!
「あの、えっと、どういうこと・・・?」

「ごめんなさい。その話をした当日、つまり先輩の結婚式の日と次の日の日曜日、瀬良さんに私の彼氏になってもらったんです。」

「え・・・。」

───だからあのライブ配信でクリエイターに恋人同士だと思われても優悟は否定しなかったのか・・・。

「でも、結婚式の間近くにいて次の日一緒にお台場のフードイベントに出掛けたけど・・・その、触れ合ったりとかはしてないからな。あ、腕は一瞬組んだりしたけど。」

「あれは私が無理矢理・・・瀬良さんが振りほどかなかったのは結婚式の雰囲気を悪くしたくなかったからでしょう?だからすぐに離したしもう絶対に触れちゃいけないなって思いました。」

柚香のSNSの写真はそういうことだったのか、と納得する。

「瀬良さんの元カノさんへの気持ちを利用してそんな卑怯な提案をしてしまったこと、すごく愚かだったなって後悔したんです。自分に失望しました。本当に元カノさんの方はもう気持ちがなくても、瀬良さんは彼女のことが好きなのに、好きでもない私の彼氏の振りをさせてしまった。さっきトイレの前で仲睦まじいお二人を見た瞬間、ますます自分がしたことが恥ずかしくなって・・・本当にごめんなさい。」

友野さんは立ち上がると優悟と私に向かってこちらが恐縮するくらい深く長く頭を下げていた。
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