王子と社長と元彼に迫られています!
「ししし、将来ってその、まさか・・・。」

「俺は千咲と結婚したいと思ってる。」

そのパワーワードは一瞬で私をノックアウトした。

「けけけけっこ、こけっこ・・・っ。」

「・・・ぷっ!(にわとり)かよ。酢豚の豚になったり鶏になったり、ほんと千咲って面白いな。一生一緒にいても絶対飽きないよ。」

雲ひとつない青空の下、優悟は顔をくしゃくしゃにして楽しそうに笑った。

───待って、落ち着け。これって、プロポーズ・・・の予告的なやつ?いや、落ち着いてられるかっての!

「よりを戻せた勢いとか旅行に来てる高揚感から言ってるんじゃないのは信じてほしい。」

「う、うん・・・。」

笑顔から一転して真剣な顔になった彼にドキドキが止まらない。そんな私の左手をとり『指輪、外したんだ。』と言ってきたので『うん、お風呂に入るから外したの。』と返す。

「本当は隣の指に指輪はめたかったけど、それは千咲の許可がいるから。」

「隣の指って・・・!?」

───左手薬指!?・・・ってか、『指輪は妖精からの誕生日プレゼント設定』はどうしたよ!?

「考えてみたら今までの俺達って、結婚して10年くらい経った夫婦みたいだったなって。なんかその生活を先取りしちゃってたっていうかさ。そう思ったら千咲との結婚生活っていうのが現実味を帯びてきたんだよ。変な話だけど。」

「・・・なんかその話、ちょっとわかる。でも正直私、今まで結婚のことなんてすごい漠然としか考えたことしかなくて、こんなズボラな自分と結婚したいと思ってくれる人が現れるとも思えなかったし・・・今すごく混乱してる。」

「もちろん、千咲がその気になるまで俺は待つつもり。ただ、俺は千咲と一生添い遂げたいと思ってる。その事だけ伝えておきたかったんだ。」

優悟が触れていた私の左手に指を絡めてきた。胸が一杯でやっとのことで『ありがとう。』という言葉を心から口、口から外に送り出した。

「それと、もう一つ大事な話がある。」

指を絡めた手を握りしめて優悟が言った。
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