王子と社長と元彼に迫られています!
「紬くん、大丈夫・・・?」

ライブハウスでのライブはすごく盛り上がった───昨日の暁さんの告白とキスを一瞬頭の隅に追いやるくらいに。でも男性ファンが多いこともありヒートアップするにつれ、満員電車のひどいのみたいな状況になった。そんな中、紬くんは必死で私を守ろうとしてくれて、前に立っていた体格のいい男性のヒジが顔面にクリーンヒットし、鼻血を出してしまった。

「もう止まったし全然大丈夫だよ。」

「紬くん私のせいでライブ楽しめなかったんじゃない?」

「そんなことないよ。ちぃちゃんと一緒に行けて、今まで行ったライブの中で一番楽しかったよ。」

満面の笑顔にキュンとしてしまう。整った顔を歪めて体を張って守ってくれた男らしい姿にかなりドキドキしてしまっていた。あんな風に守られたことなかったし・・・。

ライブハウスを出て駅まで歩き電車に乗り、興奮覚めやらぬまま話しているうちに私が降りる駅に着いた。『じゃ、またね。』と言って手を振ると、彼も当たり前のように一緒に電車を降りた。
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