王子と社長と元彼に迫られています!
「え?紬くん?」

「家まで送るよ。定期圏内だし気にしないで。」

「でも・・・。」

「正直言うとね、一緒にライブ楽しめたのすごく嬉しくてもう少し二人で余韻に浸りたいななんて思っちゃって。」

照れたようにそんなことを言う。うわ・・・そんな顔でそんな可愛いこと言うなんて反則だな。だって、私ももっと話したいなと思ってるし。どうやっても(あらが)えないやつじゃん。


「ちぃちゃん、去年のお花見行ったんでしょ?CD買ったら当たるやつ。」

地上に出るエスカレーターを降りると後ろにいた紬くんが隣に並んできた。

「うん。お弁当食べながらライブありトークありで最高だったよ。一緒に写真も撮ってもらったし。」

「いいなぁ。当たるの100名だったっけ?僕応募したけど外れたんだよね。その写真見たいな。」

「・・・実はね、その写真URL送ってもらってダウンロードしてパソコンに入れてたんだけど、そのパソコンが壊れて見られなくなっちゃったんだ・・・。うっかりドライヤーかけながら電子レンジで牛乳温めちゃってブレーカーが落ちて、つけっぱなしにしてたパソコンが立ち上がらなくなっちゃったの。私ズボラだから、CDーROMに落とすとかプリントアウトするとかしてなくて・・・。」

ああ、情けない。写真が見られなくなってしまったことも、紬くんにこんなことを言わなくてはいけないことも・・・。

「パソコンが壊れててもデータが入ってるHDDかSSDが無事ならそれを取り出して別のパソコンにデータを移せるよ。」

「え!?本当!?」

「うん。ついでだから、今ちぃちゃんの家お邪魔してパソコン見てみようか?もしかしたら起動できるかもしれないし、駄目でもデータが無事なら家に余ってるパソコンあるからそれでよければあげるよ。」

う~ん、パソコンを見てもらえるのは有り難いけれど、何せ・・・。

「あのね、家がすごく散らかってるから・・・。」

「そんなの気にしないよ。」

「いや、本当に、引くくらいだから。」

「パソコンてノートパソコン?」

「うん。」

「じゃ、ちぃちゃんの家の近くのカフェとかに持ってきてもらったらそこで見るよ。すぐわかるから。」
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