王子と社長と元彼に迫られています!
昨日、いつ電話が鳴るかとドキドキしていたが結局紬くんからの連絡はなかった。昨日中に電話をくれると言っていたわけではなかったけれど。

かわりに暁さんからの着信があった。帰り道スーバーで買い物をしている間にかかってきていたようだ。

かけ直すべきなのだろうと思ったが、展望室での紬くんの剣幕を思い出すと、彼も怒っているのではと怖くなってしまう。結局かけ直さずぐずぐずしているうちに『夜分遅く』だと思われる21時を過ぎてしまい、正直ホッとした。友達でもないのに明日からの休日にかけるわけにもいかないし・・・なんてなんだかんだ理由をつけてやらなければならないことを先伸ばしにして逃げているだけだった。

───この一週間、色々あり過ぎて疲れた・・・。

柚香(ゆか)に連絡すると今日空いているみたいなので話を聞いてもらうことにした。


*****

「はあぁ、やっぱり柚香の料理美味しい!完全に胃袋掴まれちゃってる。嫁に来てほしい。」

「それ、チサバじゃなくて素敵な男の人から言われたいよ。私、料理好きだし美容も頑張ってるのに、なんで恋愛続かないんだろ。」

柚香がため息をつく。今日は彼女の家で飲むことになった。私とは違って女子力満点な部屋だ。綺麗に片付いているだけでなく、色やインテリアのテイストに統一感があってカフェみたいにおしゃれだ。

作ってくれる料理も私が優悟に作っていたみたいに大皿にざばっと野菜炒めを乗せるのとは大違いで、オーガニック野菜や手作りの調味料を使った料理がおしゃれダイニングのようにこだわりの食器に綺麗に盛り付けられている。

柚香は女子力の塊みたいな女性で、私が知らないカタカナの料理名やコスメの名前を色々知っているし、いつ会っても頭の先から爪先まで完璧に綺麗にしている。ファッションやフード系の資格も色々持っているし、季節のお花が届くサービスも利用していたりする。爪のアカを頂いて煎じで飲ませてもらった方がいいかもしれない。

誰が見ても美人&ナイスバディと思うであろう外見だけでなく性格だって魅力的だ。世話好きでお姉さんぽいけれどお節介ではないし、結構毒舌で行動も大胆だ。友達は男女共に多いしモテる。でも恋愛は何故か長続きしなかった。
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