王子と社長と元彼に迫られています！

「・・・30点。」

「へ？」

彼女は私を見るなり言い放った。声まで可愛い。

「顔の作りと服はまぁ合格。でも、髪と肌の手入れを怠ってるし、なんの香りもしないで無臭だし、爪何もしてないとか有り得ないし、メイクは雑誌かなんかのそのままマネしただけで顔に合ってないし、ピアスとネックレスはダサい。」

「はぁ・・・。」

「しかも声も太いんだ。10点減点。紬に全然ふさわしくないね。」

彼女が言っていることは否定できない。しかし誰なんだろう。

「帰ってくれないかな？」

紬くんの低く抑えられた声にビクッとすると彼女もそれに被せてくる。

「そうだよ。あんたとっとと帰って。」

「あ、うん、では失礼しま・・・。」

そう言って帰ろうとすると紬くんが私を抱き寄せた。

「違うよ。蕾(つぼみ)が帰って。」

「はぁ！？なんで・・・？なんでこんな冴えない女・・・。」

彼女は可愛い顔を歪めて私を睨み付けてくる。

「ちぃちゃんは僕が今までの人生で一番好きになった女性なんだ。いくら妹だからって、彼女を侮辱することは絶対に許せない。」

───え！？妹！？確かに似てる・・・。

「何それ！？バッカじゃないの！？そんな女、どーせすぐ飽きるよ！お金なさそーだから貢いでるわけでもなさそーだし、カラダの相性がいいとかなんでしょ！？」

「・・・蕾、これ以上僕を怒らせないで。こんなに強く怒りを感じたことがないから、自分でもどうなるかわからない。それに言っとくけど僕たちはそういうことはしてないから。」

いつものキャラメルボイスとは全く違う、険のある声に震えてしまいそうなる。

「～～～！？！？もう知らないっ！！くっだらない女と付き合って勝手に時間無駄にすれば！？」

彼女───蕾ちゃんは大きな目に涙を溜めながら入ってきた時よりも大きな音を立てて出て行った。