王子と社長と元彼に迫られています!
「会社設立は会社員の一ヶ月分の給料くらいあれば出来る。会社を持続させる方がずっと大変なんだ。俺の会社は物を売るわけじゃないから、生産コストはかからない。それでも生活費よりも事業経費の方がずっと高かった。事業経費っていうのは節約すればいいってもんじゃない。使うところは使った方が結果利益に繋がるんだ。例えば会社の所在地は家賃が高くても都心にあった方が箔がつくし、電話もフリーダイヤルを設置した方がちゃんとした会社だと思われる。住所については『バーチャルオフィス』っていって、都心のビルにあるポストだけ借りて、そこを会社の所在地として登録出来るんだけどな。」
「へぇ~そんなのあるんですね!」
「何度も自信なくして諦めそうになったよ。俺起業するの向いてなかったのかなって。新設法人リストというのを購入して、出来たばかりの会社に何万件とダイレクトメールを送っても───3分の1は宛先不明で返送されてくるんだが───何の反応もなく1件も契約が増えない年もあった。近くの会社にチラシをポスティングしてビルの管理人に怒られたりな。」
「なんか、暁さんのそういう姿想像できない・・・。」
「だろ?でもポスティングが一番勝率が高かった。500配れば1件の問い合わせが来る。まぁ、来たところで客になるとは限らんが。バイト3つかけ持ちして会社を存続させるのに必死だった。週の半分は帰宅出来なかったよ。そうやってなんとか踏ん張っていたら契約が増えて、オフィスも駅から遠い年季の入ったビルからここに移った。」
「いや~もう、『すごい。』って言葉しかないです。勝手に最初から全部順調にいったのかと思ったから。」
暁さんの話は興味深かった。バイトのうちの一つはお菓子工場で日本なのに日本語も英語も通じなかったから海外で働いてるみたいで面白かったし、そこで出逢った外国人の方を会社に迎え入れて資料の翻訳を担当してもらっているらしい。
そう、そんな話をしたことはしっかり覚えている。そこからなんでこんなことに・・・!?・・・あ、そうだ、優悟───!!
「あの、すみません。今日観光するっていうことだったんですけど、急用を思い出したので、帰ります。」
暁さんを見上げて言うと、瞳が悲しげに揺れた。それに伴って私の心も揺れる。
「・・・わかった。じゃあその前に。」
声を上げる間もなく唇を奪われて押し倒される。すぐにシャツのボタンに手がかかった。
「へぇ~そんなのあるんですね!」
「何度も自信なくして諦めそうになったよ。俺起業するの向いてなかったのかなって。新設法人リストというのを購入して、出来たばかりの会社に何万件とダイレクトメールを送っても───3分の1は宛先不明で返送されてくるんだが───何の反応もなく1件も契約が増えない年もあった。近くの会社にチラシをポスティングしてビルの管理人に怒られたりな。」
「なんか、暁さんのそういう姿想像できない・・・。」
「だろ?でもポスティングが一番勝率が高かった。500配れば1件の問い合わせが来る。まぁ、来たところで客になるとは限らんが。バイト3つかけ持ちして会社を存続させるのに必死だった。週の半分は帰宅出来なかったよ。そうやってなんとか踏ん張っていたら契約が増えて、オフィスも駅から遠い年季の入ったビルからここに移った。」
「いや~もう、『すごい。』って言葉しかないです。勝手に最初から全部順調にいったのかと思ったから。」
暁さんの話は興味深かった。バイトのうちの一つはお菓子工場で日本なのに日本語も英語も通じなかったから海外で働いてるみたいで面白かったし、そこで出逢った外国人の方を会社に迎え入れて資料の翻訳を担当してもらっているらしい。
そう、そんな話をしたことはしっかり覚えている。そこからなんでこんなことに・・・!?・・・あ、そうだ、優悟───!!
「あの、すみません。今日観光するっていうことだったんですけど、急用を思い出したので、帰ります。」
暁さんを見上げて言うと、瞳が悲しげに揺れた。それに伴って私の心も揺れる。
「・・・わかった。じゃあその前に。」
声を上げる間もなく唇を奪われて押し倒される。すぐにシャツのボタンに手がかかった。