王子と社長と元彼に迫られています!
唇が触れた途端、優悟の目がパッと開いた。『よし起きた、成功!』と思って離れようとすると、彼の手が私の後頭部に当てられて、深く口づけられる。

「・・・っ!ゆう・・・。」

優悟は何かに駆り立てられるかのように貪欲に私の唇を求めた。こんなキス彼らしくなかった。

ゲームオーバーの音が鳴り響いても触れ合いは続いた。色づいた音を立てて絡まり合う・・・触れ合っているのは唇と舌だけなのにまるで体全部でぶつかり合っているような錯覚を覚えるほどだ。体がどうしようもなく(うず)いてしまっていることに気がつき、そんな自分が恥ずかしくてたまらなくなる。

───もっと先に進みたい・・・。

心がこぼした声に驚いたその瞬間、優悟の唇が私の唇を離れ、すぐに首に触れた。思わず声が漏れてしまう。すると彼の手は私のコートのボタンをじれったそうに外し、ニットの中に侵入した。すぐにお目当てのものにたどり着いたその手はそこにせわしなく触れた。

狭い車内に響く濡れたものがぶつかり合う音や二人の荒い吐息の音、衣擦れの音と時折漏れる私のやたら艶っぽい声・・・それに煽られているかのように優悟の動きは激しさを増していく。

スカートに彼の手が入って来た時、体がビクッと大きく震えてしまった。そこで唇が離れて『・・・ごめん、出よっか。』と手を引かれ、ゲーム機から出た。

『出よっか。』というのは車型のゲーム機から、という意味だとばかり思っていたのに、優悟は店内をずんずんと進みゲームセンターから出てしまった。火照った頬に外の冷たい空気が心地良い。

「・・・ね、どこに・・・。」

やっと立ち止まった背中に聞くと彼は振り返って『ここ。』と言う。目の前にあったのはやたらと可愛らしい外観の建物・・・大人の休憩所だった。
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