王子と社長と元彼に迫られています！
「鈴丘(すずおか)さんは何か案とかある？」

チームミーティングもそろそろ終わる頃、議事録を作っている私にチームリーダーの南(みなみ)さんが声をかけてくれた。既婚男性で年齢は30代半ばくらいだと思う。いつも私の仕事が忙しくないかと気を配ってくれる優しい上司だった。

他のチームメンバーは男性社員の三原(みはら)さんと女性社員の本庄(ほんじょう)さん。三原さんの方が一年先輩で二人は付き合っている。

去年の夏にここに派遣社員として来てすぐの頃から、チームの3人の社員さんは私のことを戦力として扱ってくれていて、それがすごく嬉しかった。

前の会社の時は、正社員だったのに自分に意見が求められることなんてなく、上司に決められたスケジュール通りに動いているだけだった。パソコンとか複合機が出来ない作業をやる為の使い捨てのAIみたいに扱われている感じがしていた。パソコンや複合機だってアップデートやメンテナンスが必要なのにそういったケアをされることなくただ業務をこなす日々だったのだ。

今日のミーティングは、新商品についてのものだった。今はお客様が選んだカメラマンの動画を集めてデータやDVD・Blu-rayディスクにするのみだが、動画を使った他の商品も作れないか？というアイディアを出し合っていた。

暁さんとの夜、そして優悟との夜のことを考えていて少しボーッとしてしまっていた私はハッと我に返って以前から考えていたことを提案してみることにした。
< 83 / 203 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop