空を飛ぶ夢を見る小鳥








「おい。」

「…うん、どうしたの?」

「離れすぎ。」



夕暮れが見える屋上の壁に寄りかかって座る男に呼ばれ、隣に座ると、肩を抱き寄せられる。

吹く風に当たり、揺れる彼の銀髪は、夕暮れの色に染まって、綺麗だ。

クッキリとした二重に包まれた黒い瞳も、通った鼻筋も、シャープな輪郭も。

どのパーツにも無駄が無く、綺麗なその顔立ちを横目で見ると、黒い瞳と視線が絡む。

自然とお互いに見つめ合う時間になって、キスをする為に顔が近付いてくるのと同時に、逃げられないように手首をガッシリ掴まれる。

私はこの力に、逆らえない。



「逃げんな。」

「…っ、んぅ、ぅっ、」



間も無く重なって来た唇は、何度も角度を変えてきて。

そのキスに何かを奪われるのではないかと怖くなり、腰を引きそうになった私を止めたのは、手首を掴んでいるその手だった。

始まって早々に束縛をされている私の名前は林小春(はやしこはる)、17歳。現在、都立の高校に通っている。



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