受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
「ねぇ、レーヴ」

「なぁに?」

 すっかり警戒心を解いてしまったレーヴを見て、デュークは心配になった。
 誰彼構わずこんなことをされては、デュークは嫉妬に狂ってしまいそうだ。

 レーヴの手前、大人ぶってはいるものの、実はそんなに大人でもない。
 できれば彼女には、もう少し警戒心を持って接してもらいたいものである。

 つまり、デュークは男として意識してもらいたかった。

 コテンと小首をかしげてデュークを見つめてくるレーヴの耳に、デュークは唇を寄せる。

「僕はね、君のここに……惹かれてやまないんだ」

 毒を仕込んだ甘いお菓子は、きっとこんな味に違いない。
 流し込まれた蜜のような声に、レーヴは震えた。
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