受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
 レーヴがいると彼女のことしか目に入らなくなるので気にならないが、一人だとどうしても気になってしまう。
 そうしてまた気付くとレーヴのことを考えている自分に気がついて、デュークはくすぐったそうに小さく笑った。

 公園まであと一区画という距離で、デュークは唐突に足を止めた。
 虫を追い払うように、彼の長い尻尾がブルンと一振りされる。ピンと立った耳が、帽子の中で忙しなく動いていた。

「僕のあとをつけているのは誰だ?」

 嫌悪感もあらわに鬱陶しそうに顔をしかめたデュークが振り返る。と、そこにいたのは一人の女性だった。
 年齢はレーヴと同じくらいだろうか。ジョージと同じ近衛騎士の白の制服を着た彼女に、デュークはどことなく親近感を覚える。

 不思議な感覚に頭を捻っていると、女性は「申し訳ございません」と言った。
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