受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
 魔獣殲滅、の言葉にレーヴはビクリと体を震わせた。
 まるでデュークが狙われているような気持ちになって、背中を嫌な汗が伝っていく。

 だが、そんな緊張感を壊すように、おねぇ補佐官が「あぁん、もう!」と拗ねたように言ったせいで、レーヴの気持ちはあっという間に楽になった。

「アタシが言いたかったのにぃ! でも、そうね。獣人が一緒ならあっという間よぉ。ディンビエは最近できたばかりの新しい国だから、獣人の存在をよく知らないみたいなの。だからね、他でもない、魔獣に見染められたあなたに、この任務を遂行してもらいたいのよ」

 そろりと見上げれば、補佐官がブリッコのようにイヤイヤと曲げた腕の間にむっちりとした大胸筋を挟んでいた。豊満な女性の胸だったら様になっただろうが、男性の豊かな胸筋では非常に残念な気持ちになる。しかも、鍛え抜かれた上腕はボンレスハムみたいにムチムチしているのだ。
< 215 / 323 >

この作品をシェア

pagetop