受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

「あらあら、まぁまぁ」

　するとそこへ、マリーのおっとりとした声が響く。
　何事かと思ってマリーを見ると、彼女はウォーレンから報告を受けているところだった。

「まぁ、そんなことが？　仕方ありませんわねぇ」

　のんびりとした口調ながら、彼女がまとう空気は非常に緊迫したものだ。
　思わず警戒するデュークに気づいたレーヴも、何事かと階下を振り返る。

「ごめんなさいね。感動の再会のところ悪いのだけれど、ちょっと急がないといけないみたいだわ。隣国ディンビエが今にも魔の森に火を放ちそうなんですって」

　さらりと告げられた言葉に、一同に緊張が走った。