受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
8
初めての魔の森を楽しむ余裕もなく、慌ただしく駆け抜ける。
あれほど乗りたいと熱望していたデュークの背に乗っているというのに、レーヴは目の前で起こる不可思議な現象に驚くばかりで堪能する暇もなかった。後に彼女は語る──あれは一生の不覚だった、と。
ともあれ、魔の森の入り口で聞いた足音はレーヴたちに気づかなかったようだ。危惧していたディンビエの伏兵や斥候に会うことも、魔獣が襲ってくることもなく、任務は順調そのもの。
おそらく森の木々がレーヴたちを隠してくれたからなのだろう。そしてそれは、デュークのおかげに違いない。
「ありがとう、デューク」
レーヴの声に、デュークの尻尾が少しだけ高く上がる。
視界の端でそれに気づいたレーヴは、嬉しそうに唇を緩ませた。
あれほど乗りたいと熱望していたデュークの背に乗っているというのに、レーヴは目の前で起こる不可思議な現象に驚くばかりで堪能する暇もなかった。後に彼女は語る──あれは一生の不覚だった、と。
ともあれ、魔の森の入り口で聞いた足音はレーヴたちに気づかなかったようだ。危惧していたディンビエの伏兵や斥候に会うことも、魔獣が襲ってくることもなく、任務は順調そのもの。
おそらく森の木々がレーヴたちを隠してくれたからなのだろう。そしてそれは、デュークのおかげに違いない。
「ありがとう、デューク」
レーヴの声に、デュークの尻尾が少しだけ高く上がる。
視界の端でそれに気づいたレーヴは、嬉しそうに唇を緩ませた。