受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
 ウォーレンはなんだか馬鹿馬鹿しくなってきた。
 窓から差し込む陽気があたたかい。

「こんなにいい天気の日は、ピクニックがしたくなるな」

「ピクニック! それですわ!」

「それ、とは?」

「デュークとレーヴさんの初デートよ。レーヴさんはパン作りが趣味だと調査報告書にありました。ここはぜひ、彼女に手作り弁当を用意して頂き、さらなる交流を図りたいところですわ!」

「あれはキャロットラペが好きだから、リクエストしておこう」

「まぁ、ウォーレン。あなたはなんて素敵な旦那様なのでしょう!」

 デュークはにんじんが大好きだ。
 大好きなものを大好きな人が作ってくれる幸せ。ウォーレンはそれを、デュークに味わってもらいたいと思った。

 ロスティは間もなく初夏を迎える。公園は緑豊かで気持ちが良いだろう。奥手なレーヴも、開放的な環境につられて気持ちまで開放的になるに違いないわ、とマリーは微笑んだ。
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