受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
3
レーヴがデュークと初めて顔を合わせていた、同時刻。
彼女の職場の先輩である中年女性、アーニャ・ロッソは、とある家を外からのぞき込んでいた。
言い訳しておくと、最初はドアをノックしようとしていたのだ。だが、扉の向こうから話し声が聞こえたこと、そして彼女の女の勘が甘い空気を察知したため、とりあえず外から様子をうかがうことにしたのである。
レースのカーテンが引かれた窓からは、中の様子をすべて見ることはできない。かろうじて見えたのは、脚立に腰掛けるレーヴだけだった。
「ああ、良かった。とりあえずレーヴは元気みたいね」
レーヴの様子に、アーニャはホッと胸を撫で下ろした。というのも、彼女はレーヴの安否を確認するためにここへ派遣されたからだ。
朝。アーニャがいつも通り職場である早馬部隊王都支部へ出勤したところ、部屋の奥からどんよりとした空気が流れていた。
空気を入れ替えるために窓を開けながら、アーニャは嫌な空気を発している初老の上官に目を向ける。
「どうしたんですか? しょんぼりしちゃって」
「今日もレーヴちゃんは休みなんじゃと」
しょんぼりと背を丸めて呟く姿は、孫を生きがいとしているおじいちゃんのようだ。
彼女の職場の先輩である中年女性、アーニャ・ロッソは、とある家を外からのぞき込んでいた。
言い訳しておくと、最初はドアをノックしようとしていたのだ。だが、扉の向こうから話し声が聞こえたこと、そして彼女の女の勘が甘い空気を察知したため、とりあえず外から様子をうかがうことにしたのである。
レースのカーテンが引かれた窓からは、中の様子をすべて見ることはできない。かろうじて見えたのは、脚立に腰掛けるレーヴだけだった。
「ああ、良かった。とりあえずレーヴは元気みたいね」
レーヴの様子に、アーニャはホッと胸を撫で下ろした。というのも、彼女はレーヴの安否を確認するためにここへ派遣されたからだ。
朝。アーニャがいつも通り職場である早馬部隊王都支部へ出勤したところ、部屋の奥からどんよりとした空気が流れていた。
空気を入れ替えるために窓を開けながら、アーニャは嫌な空気を発している初老の上官に目を向ける。
「どうしたんですか? しょんぼりしちゃって」
「今日もレーヴちゃんは休みなんじゃと」
しょんぼりと背を丸めて呟く姿は、孫を生きがいとしているおじいちゃんのようだ。