受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
「さぁ、どうしましょうねぇ」

 職場に戻った時、ジョシュアにどう報告するべきか。それが、問題である。
 娘の十倍はかわいいといっていた孫よりもレーヴがかわいくて仕方がないジョシュアが、この驚くべき出来事を知ったらどうなるのか。

(わしより強い男でないと、交際なんぞ認めん! どこの馬の骨とも知らぬ男め、かかってこぉい!……ってなりそうね)

 そうして年甲斐もなく張り切って、ぎっくり腰を再発するところまで想像して、アーニャはやれやれとため息を吐いた。
 引退の時期はとうに過ぎているというのに、「生涯現役じゃあ!」と張り切っている上官は、つい先日初のぎっくり腰で休んだばかりである。

「とりあえず……元気だった、とだけ伝えておきましょうか」

 レーヴの性格からして、すぐにどうこうという話ではないだろう。頃合いを見て、話すしかない。

「レーヴの結婚相手の候補……たしか、ジョシュアの孫も上がっていたわよねぇ?」
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