生徒会会長が暴走族総長だった件
「違うとこ行くから。」
バイク乗ってる人が私に言った。
「そ~?じゃ楽しんでおいで~。」
「はーい。」
って返事してるしこいつ……
「移動すんから乗って。」
「っえ?」
どういうこと?
この人、乗ってるから乗れないんだけど。
「……いーから後ろ乗れ。」
ああ、この人の後ろか。
……って2人乗りだめじゃん!
「怖いのでやめておきます。」
「桃に拒否権ねーよ。」
ないのですか、はい。
「おっ、乗った。俺のメット貸すからかぶっとけ。あと、ちゃんと手回して。」
「分かった。……てか貴方はヘルメットなし?」
「颯って呼べ。いつか桃の分も買うから。」
颯……ね。
「で、でも!颯が危ないじゃん!」
「へぇ~?心配してくれんの?」
いやそういう方向じゃなくて。
「私のせいで誰かを怪我させたくないから。」
また『あの日』みたいにならないように───
「……優しいんだな。」
全然そんなのじゃない。
「こんくらいしか償えられないし。」
「……行くぞ。」
「あっ、うん。」
とまた、違う倉庫に向かった。