三度目のファーストキス
 数日前の公園での柚葉の様子が思い浮かんだ。

『蓮也、好きだよ。好きすぎて苦しい。』

 目に涙をためてじっと俺を見つめる。

『友達だって言ったけど、蓮也のことを友達だなんて思ったことないよ』

『私のこと、好きになって』

『何で、ももちゃんなの?私のほうがずっと蓮也に合ってるよ。』

『私がこの世界で一番蓮也のこと好きなんだから…!』

 ぎゅっと俺に抱きついてずっと泣いていた。

 柚葉が俺のことをずっと好きだなんて知らなかった。知らずにずっと友達として接してきた。柚葉の熱い思いが伝わってくる。こんなに思われていたなんて。ずっと近くにいた柚葉。どんなにつらかったんだろうか。

 ももに恋している俺ならもうその気持ちが痛いほどわかる。好きな人に思ってもらえないつらさ。会いたいし、触れたいけどそれが簡単にできない関係。他の男に苦しいほど嫉妬してしまう気持ち。

 柚葉の気持ちを考えるとぐっと胸が苦しくなった。俺はこれから柚葉に対してどうすればいいのだろうか。
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