三度目のファーストキス
「柚葉にはちゃんと自分の気持ちを話したよ。ももが好きだって。…柚葉とは付き合えないって。」
「そうか。」
「あ~!もう!最低だよ俺…どうしたらいいんだ」

 ソファーにもたれて天井を見上げて大声をあげた。柚葉の気持ちに全く気付いていなかったし、そんな長い間ずっと苦しめていたなんて。あんなに泣かせてしまった。

「確かに蓮也はアホだよな。」
「うっ」

 さっきから諒太の言葉が突き刺さる。

「でも、お前が悪いわけじゃないんだし、このままでいいんじゃない?」
「え?でも…」

 柚葉と同じ気持ちを返せない限り距離を置いた方がいいんだろうか。それは本当はすごく寂しいけど。友達としてずっといっしょにいたんだ。でも、それは俺のわがままなんじゃないか。

「今まで友達として蓮也のそばにいたのも柚葉の選択。気づかなかったのはお前がアホだから仕方ないとして別に悪い事じゃないだろ。そもそも柚葉が気づかれないようにしてたんだしな。」
「これまで通りでいいのか…?」
「蓮也ははっきり自分の気持ちを伝えたんだ。後は柚葉がどうするかだろ。っていうか蓮也はアホだから距離置くとかそっけなくするとかそんな器用な真似できないだろ。もう、そのままでいいんだよ。」
「そうかな…っていうか、アホアホいいすぎだろ。ははっ。」
「ふっ。アホだから仕方ないな。」

 二人して笑った。
< 56 / 86 >

この作品をシェア

pagetop