三度目のファーストキス
「あっ!」

 もしかしたら…?悪い予感がする。一気に血の気が引いた。

「どうした?」
「も、もしかして...ももも俺と柚葉が付き合ってるって思ってるとか…?」
「まあ、そうだな。」
「...っ、あぁ~」

 頭を抱えてうなった。ずっと誤解されていたなんて。

「気づいたついでにいいこと教えてあげるよ。」

 諒太がニヤリと不気味に笑った。この笑いをする時の諒太は絶対いいことじゃない。真っ青になったまま続く言葉を待つ。

「この前の公園でお前ら何してたの?」
「……」

 この前の公園とは俺とももの思い出の公園でのことだろう。ドカンの中ですごくいい雰囲気になったことを思い出す。もう少しで唇が触れそうだった。ももも俺と同じ気持ちだと思えた。その時の熱が思い出されて胸が苦しくなった。

「まあ、そんなん興味ないけど。いい感じだったんだろ。」
「ふっ、ま、まあ…」

 言葉を濁しながらもにやにやしてしまった。

「柚葉と付き合ってるのをももは知っている。それなのに蓮也はももに手を出した。」
「……」

 その言葉に浮かれていた自分が恥ずかしくなった。俺はアホすぎる。何でこんな重要な事に今気づくかな!さっきのように真っ青になって諒太を見た。諒太は相変わらず黒い笑顔でニヤニヤしている。

「やっと気づいたか。アホ。ももはお前のこと、彼女もいるくせに手を出してくる最低男だと思ってんだよ。」
「…っ!!!!」

 頭を抱えて黙り込む。な、なんて最低なんだ、俺は。

「ついでに付け加えると。そのイチャイチャしてる現場を彼女の柚葉に見られた。真面目なももはどう思うかな?ははっ」
「ぅわぁぁぁぁ…」

 呻き声をあげながら電話を取り出しももに電話をかける。早く誤解をとかなくては!

「お前がももにさけられるのは仕方ないって話だ。」

 諒太の淡々とした言葉を横耳で聞きながら震える手でコール音を聞く。

 出てくれ、もも…

 切実に願うけれど、コール音が続き途中で切れた…

 
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