三度目のファーストキス
「……」
「……」
「…ごめんね」

 しばらく沈黙が続いた後、柚葉ちゃんが小さくつぶやいた。

「本当は私達付き合ってないの。それなのにももちゃんにひどいこと言った。」
「え?」

 付き合ってない?レンくんも言っていたけど、本当だったんだ。ひどいことって公園でのことかな?

「中学3年生の初めに別れてからずっと友達。」
「そ、そうなんだ。」

 驚いてそれしか言えなかった。

「だから、蓮也の話聞いてあげて。お願い。ももちゃんに避けられて辛そうにしてる蓮也を見てられない。」

 ああ。柚葉ちゃんはこのことを伝えるためにわざわざ電話くれたんだね。レンくんが大好きで私のことが気に入らないのに。

「ありがとう...柚葉ちゃん、やさしいね。」
「やさしくなんてない!私がどれだけももちゃんに意地悪してたか!そういう所がももちゃん嫌い!やさしいのはそっちじゃん。」

 素直な気持ちを話してくれた彼女に私も素直にならなくちゃ。

「私は全然ダメだよ。本当は付き合ってなかったのかもしれないけど、私は二人が付き合ってるって思ってた。なのに気持ちが抑えられなくて…私の方がヒドイんだよ。柚葉ちゃんが辛い思いしてるのもすごくわかる。それなのに、二人が付き合ってなくて本当にホッとしてる。」
「……」

 柚葉ちゃんが息を飲んで私の言葉を待ってるのがわかる。ちゃんと伝えないと。私もドキドキする。深呼吸して伝える。

「私もレンくんが好き。ごめんね。」
「…謝らないで。」
「うん。ごめんね。ありがとう。」
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