訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!
私が6歳になったある日、レオンお兄様が森へ行こうと言い出しました。
大人達に言えば確実に反対される危険な冒険です。けれども私達は、その好奇心を抑えることもできず幼い3人で森に入ってしまったのでした。
公爵領のすぐ側に広がる森は、進むと王都へと続く森。しかしながら開拓は進んでおらず、今もなお妖精が豊かに暮らす緑豊かな地です。
つまり、人間が住まう場所ではないのです。
「お兄様、妖精さんがもう帰ろうって言ってるよ?」
私は花魔法しか使えないので、花の妖精だけしか見えませんが、花の妖精は優しく可憐で親切な子ばかりで、よく話しかけてくれるのです。
他の属性の妖精は、わざわざ呼んだり契約しなければ会話もしない者ばかりだそうです。
「ローズ、冒険とは限界に挑戦してこそ楽しいものだ!」
レオンお兄様は、好奇心旺盛。私の言葉は届きません。
「レオン、私も戻った方が良いと思う。私の妖精も戻れとうるさい」
ウィルも魔力が強く妖精に好かれているそうで、水や風、火の妖精が見えると言っていました。
「あと少し!もう少し進んだら戻ろう!あと少しだけ!」
そうして、お兄様に着いていった結果、私達は見事に森で迷子になりました。