訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!
 私は、その後5日間も熱にうなされ、熱が引いても固形物を受け付けず、かなり危険な状態だったそうです。なんとか一命は取り留めたものの、胸には赤い火傷の痕が残ることとなりました。

 お父様は、伯爵という立場上、大きく騒ぐことはありませんでしたが、娘に一生の傷を負わせたと激怒してしまいました。

 一方で、ウィルを危険な森に連れ出し、一時的に行方不明にさせたことで、ウィルのお父様であるエルフィストン公爵も、大変お怒りになっていたそうです。
 
 このことは、社交界であっという間に噂となりました。
 それは、ウィルの魔力の強さを世間に知らしめたと同時に、私がキズモノになったことを周知してしまったのでした。
 そして、それぞれの父達によって、私達は簡単に会うことを許されない関係になりました。

「…お兄様、ウィルは?元気なの?」
「俺も会えないんだ。父様たちがカンカンで、しばらくは遊べない。まぁ俺は学園に入れば会えるけど。」
「お兄様はいいなぁ…。」

 ウィルは優しいから、きっと私が怪我をしたことを気にしているだろうと思いました。
 だけどいつまで経ってもお見舞いにも来てくれず、まだ6歳だった私は、傷の痛みに耐えながらも、ウィルに会いたくてたまりませんでした。
< 12 / 100 >

この作品をシェア

pagetop