訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!


 それから公爵家と和解し、以前のような家族ぐるみのお付き合いは元通りになりました。
 しかし、ウィルはその時期から猛烈に魔法の特訓に明け暮れ、殆ど会えなくなってしまったのです。キズモノになった私は、嫌われてしまったのだと、幼いながら悟りました。

 1年後、10歳になったウィルとレオンお兄様は魔法学園に入学。寮生活となった為、全く会えなくなりました。
 ウィルは、魔法学園も飛び級であっという間に卒業し、王宮魔術士として大活躍。昨年には若くして公爵の位を引き継いだのです。

 私が魔法学園に入学する頃には彼は飛び級で最終学年になっていましたし、私は花魔法しか使えないまま卒業してしまいましたから、本当に天と地ほどの差がついてしまいました。

 気付けば遠くの世界に行ってしまった彼。
「ウィル」と愛称で呼ぶことも、恐れ多い方になりました。

 たまに聴こえてくる噂話では、「夜会には公爵様目当ての令嬢しかいない」とか、「公爵邸には求婚の手紙が毎日山程届くらしい」など、モテモテエピソードばかり。「公爵様はどの令嬢にも冷ややか」で、「誰ともダンスを踊ろうとしない」というものもありました。

 公爵の位を引き継いで、王宮魔術士として活躍するには、男女の恋愛などしている暇はないのでしょう。
 つまりは、前公爵様がお選びになる由緒正しい家柄のご令嬢と、もしくは王族の姫様と、ご婚約することになるのだろうというのが、専ら噂の結論でした。

 私は、ただの昔遊んだことのある顔馴染み。

 私の傷痕のことなど忘れてくれたのなら、それはそれで喜ばしいことのような気がします。
 初恋は実らなかったけれど、私は花屋として他の方の幸せをサポート出来るように、頑張りましょう!

と、そう思っていたのに。
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