訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!

 応接室に入ると、ウィルとお兄様、お父様で歓談されていたようでした。

 私が入るなり、苦々しい顔のお父様が目に入ります。お兄様は面白がっている様子。
 あああ、怒られるー!

「お待たせして申し訳ございません!」

 先手必勝!早速謝罪します!
 すると、ウィルが立ち上がり、私の元へ早速と来てくれました。公爵家へのご挨拶は午後からだからか、今朝は昨日よりも少しラフな格好です。

「おはよう、ローズ。急がせて悪かった。」

 胸を見せろと迫った破廉恥公爵様とは思えない程の、爽やかな笑顔!朝から眼福でございます。

「おはようございます、ウィル。こちらこそお待たせして申し訳ございません。」
「約束は午後からだったのだから問題ない。悪いが二人で少し外出したい。良いだろうか?」

 予想外の外出のお誘いにきょとんとしてしまいました。外出も出来そうな洋装にしてもらってよかったです!

「は、はい。でもどちらへ?」

 ウィルは「転移魔法で飛ぶ。」と言うと、私を引き寄せ腰に手を当てました。ものすごい密着度に心臓がバクバク鳴りはじめましたよ。あ、お花も飛んでる!ごめんなさい!

「では伯爵、また午後に。」

 ウィルがそう言ったとたん、足元に転移魔法の魔法陣が展開され、私は初めての転移を体験したのでした。「ひゃああぁ!!!」と淑やかな令嬢らしからぬ叫び声が出てしまったのはご愛敬で…。
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