訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!
 私の心は決まった。ローズを生涯の伴侶にしたいと。

 父上は好きにしろと仰った。私が公爵家を継ぎ、また魔術師として大成するならば問題ないと。恐らく、父上なりにローズを気にかけていたのだろう。
 母上はローズが嫁に来てくれるなら大賛成だと言ってくれた。

 そして私は両親とともに、アークライト伯爵家を訪ねた。
 女性陣がお茶会をしている間、アークライト伯爵、レオン、私と父様の4人で話をすることになった。父は黙って成り行きを見守っている。今回の発言権は私にあるということだろう。レオンは緊張している私をみて面白がっている。

「私はローズを婚約者に迎えたいと考えています。」

 そう唐突に切り出すと、伯爵は怪訝な顔つきになった。

「…それは、あの子の傷痕に対する責任を取るということかな?」
「違います。彼女に傷痕を残してしまったことは、一生を懸けて償いたいのは確かです。ですが、ローズを伴侶にと考えたのは、私がローズを心から慕っているからです。」

 伯爵はため息をつき、何かを思案していた。
 正直に言ってこの反応は予想外だった。伯爵よりも位の高い公爵家からの求婚であり、まだ年齢は浅いとはいえ、前人未到の3属性を操る魔導師候補の自分。そして幼い頃からのローズの自分に対する熱。
 快諾してくれるに違いないと思っていたが、伯爵の反応は予想を大いに覆すものだった。両親が大賛成だったこともあり、自分を過信していたのかもしれない。
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